わたしはすぐに教室を飛び出して職員室へと向かった。

斎加先生より早くに到着したわたし、えっへん。



「って、それじゃ意味ない…!!」



しばらくして担任教師が合流し、たくさんのプリントだったりを渡されて、同じ速度で飛び出した職員室。



「残念だけど、あいつなら帰ったよ」


「えっ、……そう…なの…?」



教室に戻ると、琥珀くんの席には初めて話す男の子が座っていた。

それは、頼というクラスメイト。


ムツミの口から何度か聞いていた名前だったため、それだけは知っていた。



「琥珀になんか用だった?」


「あっ、…いや、明日でも…大丈夫だから…」


「そう?」



やばい、
この人がいちばん危ないかもしれない…。

なぜかそんなふうに思ったわたしは、自分の席に近づくことができなかった。



「俺は御堂 頼(みどう より)。仲良くしよーね」


「よ、よろしく~」



とりあえず先生から渡されたファイルをリュックにしまわないと。

ニコッと愛想笑いを浮かべて、彼のところへ向かう。