「細いし柔らけ…、あっ、ちげえ、わりぃ。……いや、なに男相手に謝ってんだ俺…」



ぶつぶつ言ってから、距離を空けられてしまった。

どこか青白い顔、ぶんぶんと激しく首を横に振っては「気のせいだ…、これは気のせいだ」と呪文のように唱えている。



「じゃっ、じゃーな!案内したからな!!」


「あっ、ねえムツミ!」


「やめろっ!俺は女が好きだぁぁぁあああ!!!」


「………あいつバカだ……」



もしかするとわたし、変なヤツと絡んでしまったかもしれない…。

最初はムカついたけど、でもそこまで悪いヤツじゃないかもって訂正しつつあったのに。


……関わらないほうが良さそうかも。



「琥珀くん!ちょっとここで待っててっ、すぐ戻ってくるから…!」


「…え」


「一瞬っ、ほんとに一瞬!!」



それから15時30分。

授業が終わって放課後のホームルームも終わり、生徒たちが散らばる時間帯。