「だから知らねーって!!」


「っ、…ごめん」


「いや…、ただもう終わったバンドなんかさ、意味ないだろ」


「…そう…だけど、」



ええ…、そんなに怒る…?

わたしとムツミの温度感は、かなり差があった。



「それと、もうその名前は出すな」


「え…?」


「とくに……琥珀と頼の前でだけは」



そんなこと言ってくるから、余計気になるに決まってるじゃん。

バカだ。
やっぱりこいつはバカだ。



「あいつらがいちばん、Ark.を恨んでる」



そしてやっぱり、こいつはバカなんだ。

そんなの言ったら、Ark.のこと知ってるってバラしてるようなものだ。



「琥珀はさ…、すげーよ。誰が見ても才能のかたまりなんだ」



オーラ、すごいもんね。

天才肌というか、彼はいずれ世に名前を残しそうな何かがある。



「作詞作曲に編曲、楽器もギターにベース、ピアノ、一通りできる。親も有名な作曲家だからな」


「えっ、そうなんだ…」