頼side




「まじで転校しちまったとか、未だに信じられねーんだけど」



校内の自動販売機で購入したパックジュースをちょうど飲み終わった昼休み、屋上にて。

スマホ片手に見上げた俺を、ムツミは見下ろしてくる。



「頼も思わね?“よっ!”っつって教室に入って来んじゃねーかって」


「…ムツミ、そのまま」


「はっ?」



─────カシャッ。


《ムツミは元気?わたし居なくて泣いてない?》と、今にも交わしていたメッセージ。

すぐにトーク画面に載っけると、楽しそうな返信が秒で届いた。



「ちょっ、勝手に撮んなよ…!お前まさか……カンナの次のターゲットは俺にするつもりか!?」


「やめろ吐く」


「だってお前そっち側なんだろ!!」


「彼女いるけど俺」


「……えっ」



転校しちゃったね、本当に。
戻っちゃったね、もとの学校に。

でも俺はホッとしてるし嬉しくもあって、だって女の子のカンナを常に見ることができるから。