でも、幼なじみのために手放した。
幼なじみとずっと一緒にいたいからという理由ひとつを取って、手放した。
「…ほんと、最悪だ……、後悔なんかしたくなかったのに…っ、カンナもいなくなって、俺なにやってんだろうって、だって何も……残ってなかったから…っ」
「…頼くん」
後悔はさ、ぜったいあるよ。
後悔しない生き方なんて、たとえどんな偉人だとしてもできないってば。
人生は見つけて気づいていくものなんだから、後悔して当たり前なの。
頼くんは優しすぎて強すぎるから。
「後悔はない、後悔はしない」って決めた強い心が、いつの間にか自分自身を追い詰めちゃってたんだね。
「すごいよ頼くん」
「…なにも…すごくないんだよ、」
「ううん、すごい。だって……1度も琥珀くんを恨んでないんだよ。今だって、恨むことだけはしてないの」
自分で止めているわけではないんだろう。
そこだけは本当に恨んでないんだ心から。
それが頼くんの誰にも真似できない、でかすぎる愛。
頼くんにしか持っていないもの。