戻らないよ。
だから今、わたしはここにいる。
頼くんのことばかりだった。
友達に戻ってしまって、ずっとずっと寂しかったし苦しかった。
「ほんとに俺のこと…好きなの…?」
「すき…っ、だいすき……っ」
「…もう離せないよ、そんなこと言われたら。どんなにカンナチャンが俺のでかすぎる愛に耐えきれなくなっても、ぜったい離してやんないよ…?」
「うん…っ」
ふるっと震えた、向き合った唇。
綺麗すぎる瞳から、ぽろっと一筋の涙。
「わっ、えっ、なっ、泣かないで頼くん…!」
「……俺、後悔した。野球やめたことも…、琥珀のために捨てて、あいつに優しくしたこと、ぜんぶ後悔した……っ」
「……うん」
聞いたよ、琥珀くんから。
頼くんはずっと、野球をやってたんだってね。
「野球、やりたかったんだよね」
「………っ、」
たぶん、本当は、この人は続けたかったんだ野球を。
楽しそうだったもん、体育祭のとき。