あのときのリベンジをぜんぶ叶えてくれて、あのときのわたしに十分だと思わせてくれて。

そして、本当に大好きなひとを再確認させてくれた。


だからね、だから琥珀くんだって。



「琥珀くんのいちばん好きなひとは?」


「────……志音」


「うんっ!それが蘭 琥珀だねっ」



やっぱり自分の気持ちに嘘なんかつけないよ。

わたしだって同じ。



「…郡さんのいちばん好きなひとは?」


「───頼くん!!!」



それが答えだ。


地面を蹴って、銀髪の神様とすれ違うように走る。

お互いに背中を向けて、わたしも彼も振り返らない。


自分が追いかけたい人のところへ、まっすぐ。


いじわるで、優しくて、格好よくて。
幼なじみ思いで友達思い。

彼の口から琥珀くんの悪口が出たことなんか、1度もなかった。


頼くん、頼くん。


パーカー、無事に返せたよ。