あの文化祭の日。

たった1日、あの時間だけArk.の一員になったわたしでも感じたことなんだから。



「琥珀くん。俺、きみの曲が大好きだよ。それとファン!ずっとずっとArk.のファン!!まあ推しは……ギターの人だけどねっ」



そんなクラスメイトが取り付けたマスクへ、わたしはそっと手を伸ばす。

潤んだ瞳で優しく微笑んでいる唇の端、彼が隠していたものを見つけた。



「琥珀くんが隠したかったものって、これ…?」


「…今はもう、これだけ」


「あははっ、こっちのが似合ってるよー?絆創膏だなんて痛々しいけどっ」


「……ありがとう、郡さん」



やっと、見つめ合えた。

いつも背中を向けてしまう神様が、今、ほんの少しだけ本当にわたしのことを見てくれている。



「わたしこそありがとう。シュークリームも、…女の子として扱おうとしてくれたこともぜんぶ!」