「振り返っちゃ、だめっ」



リュックから取り出したパーカー。


ずっとずっと、会いたかった。
ずっとずっと、こうして返したかった。

ありがとうって、神様に。



「琥珀くんは、…わたしに背中を向けてなくちゃ、だめじゃん!」



ふわりと、彼にかけてあげる。


やっと会えた、銀髪の神様。


あなたはわたしに背中を向けて、高い高い場所に立っている人なの。

下から眺めているわたしは手を伸ばすけど、ずっとずっと届かないような。


隣に立ちたいなんて贅沢なことは言わないよ。


だって、今、こうして神様に触ることができたんだから。


それだけで十分なんだ。

これで1年前のわたしのぜんぶを叶えることができた。


大好きでした───…。


わたしの、初恋の、神様。



「…きみは、誰にも依存しないね」


「依存…?そんなの琥珀くんもだよ?」


「…ちがう。僕は誰かにすがってないとダメで、どうしようもない奴」


「変なのーっ。あんなに琥珀くんしか作れない曲いっぱい作っておいて、どうしようもないなんて!依存なんて!」



ハッと、その目が開く。