こんなことにも慣れた。
頼くんと並んで歩く日々に、慣れていた。

もしわたしが女の子だったら他校の女子高生にジェラシーの目で見られるのだろうけど、男ということもあって平和だ。



「…琥珀くん、食べないの」


「僕は持ち帰りにした」


「……マスク、そんなに外せないの?」


「…たぶんびっくりするから」



そのケーキ屋さんには店内に小さくイートインスペースがあって。

ここのシュークリームが人気商品らしいのだけど、無事にゲットできた。


向かい合うように座っているイケメン。

は、わたしの食べている姿を見ているだけだった。


ここでも食べてくれないのか……と思った理由は、どうにもわたしが考えているところじゃない部分にあるらしいのだ。



「…ふっ」


「……なに笑ってんだバカ」


「郡さんが食べてるとこ見るだけで、なんかお腹いっぱいになるから」



頼くんにも言われたなあ…。
リスみたいで可愛いって。

今は合コンで他の女の子に言ってるんだろうけどっ!!