「また明日ね、カンナ」


「っ…、うん」


「………」



じわっと浮かびそうになった涙を隠すように、うつむき加減に教科書をリュックに詰める。

今日も頼くんはいつも通りクラスメイトに送る挨拶をわたしにもして、去って行ってしまうんだ。



「…カンナ」


「っ!」



優しい声が、聞こえた。

ほんのりと甘さもミックスされた声は、わたしが大好きだったものだ。


すぐに顔を上げると、どこか切なそうに笑った頼くん。



「早くパーカー、渡しな」



わたしのリュックに入ったまんまの黒色。
押し込んだまんまの、それ。

見つけた彼はわたしの背中を後押しするみたく、言ってきた。



「…頼くんも合コン…、楽しんでね」


「……ありがと。来週だけどね」



嫌だよ、行かないでよそんなの。
頼くんが行ったらモテちゃうに決まってる。

他の男子のメンツはサチヤにシンにリョウタローっぽいから、全員が頼くんを指名だ。