「頼くん…、どうして…?」
おそるおそる見つめると、完全じゃない彼の笑顔がスローモーションに映った。
「どうしてって。カンナがずっと琥珀に返したいと思ってたものだよ」
どうしてそんな顔、してるの。
どうしてそんな顔で笑っているの。
わたし、パーカーなんて忘れてたんだよ。
だからもうそれは、琥珀くんと幼なじみのあなたが代わりに返してくれていいものだ。
「気持ち、伝えなくちゃだろ。……お前がずっと好きだった人に」
「っ、それはもう……終わったこと、だよ…?」
終わらせてくれたのは、あなただ。
思い出に変えてくれたのは頼くんだよ。
ほろ苦すぎた初恋を甘さで中和してくれて、もっともっと甘いものをわたしに与えてくれたのは頼くん。
「俺、かなり勝手だった」
「…かって…?」
「カンナの気持ち、ずっと無視して自分の好きなようにばっかして。お前の幸せを願うべきだよね、……友達なら」