わたしのこと嫌いになった…?
頼くん以外の男の子を家に上げちゃったから、怒ってる……?
もうあんなのしない、絶対しない。
頼くんしかインターホン押させないし、おでこも頬っぺたも死守する。
「っ……」
わたしの足首にそっと触れる大好きな手。
言いたいことはたくさんあるのに、やっぱり言葉にできず視界が歪んでいると。
「…放課後、屋上おいで」
「っ…!」
それだけ言った頼くんは、ぽんっとわたしの背中を軽く叩いて隣コートに戻ってしまった。
うれしさと、むなしさと、せつなさ。
そこで何を言われるんだろうと、考えるだけで不安のほうが占めていた。
「はい、これ」
「───……こ…れ……、」
「返すの遅くなってごめん」
その日の放課後、わたしはすぐに屋上へ向かった。
彼は日直だったから少し遅れて登場したのだけれど。
差し出された1枚のパーカーに、ドキリと心臓が鳴っては息苦しさが生まれる。