「はーいこのまま連行~。ほらムツミ、その新メニュー教えて欲しいからお前も来てよ」
次の日も次の日も、頼くんがわたしに向ける顔はこんなものになった。
頼くんが考えていることが分からずに、わたしも言いたいことひとつも言えないまま。
探り探り、それでも隣に居られることには変わらないからと、頑張って納得してまで過ごした。
「カンナ頼んだっ!」
「わ……っ」
投げられたバスケットボール。
うまくキャッチできず、身体ごと打ち付ける体育の実技。
「おい大丈夫かよー。そんな強くパスしてねーぞ?」
「…ご、ごめん」
立ち上がらなくちゃ、立たなくちゃ。
バスケットボールを当てられたことを口実に泣いても許されるだろうか。
じわりとまぶたいっぱいに浮かぶと、余計に立てなくなる。
「どーしたのカンナ。ひねった?」
「よ、よりくん…っ」
待ってた。ずっと、待ってた。
こうして来てくれるの。
寂しいよ、すごく寂しい。