避けられているわけじゃない。
わたしの隣を歩いてくれるし、目を見てもくれる。
でも、まるでそれは、“ありふれた男友達として”接されてるみたいなんだ。
「カンナ、置いてくよー?」
「っ、やだ…!!」
「……カンナ?」
頼くんの腕、思わずぎゅうっと掴む。
男同士なんかじゃないでしょ…?
頼くんにとってわたしは女の子なんだよね…?
「頼くんとふたりがいい…っ、ムツミごめん!!」
「……だよな!?そっちのが俺もなんか落ち着くわ!!」
ムツミがムツミで良かった。
頼くんの腕を無理やりに引いて、わたしは教室を出ようとした。
とりあえずふたりになりたい、ふたりになれるならどこだっていい。
………なのに。
「ははっ、男がそんな可愛いこと言ってたら恥ずかしいよカンナ」
ぽんぽんと、わたしの頭を撫でたことで誤魔化したつもりなのか。
わたしが知っている頼くんの温もりがガラリと変わってしまっていたこと。
わたしの手をやんわりほどいて、逆に掴んできたと思えば。