「まじかよー。お前まで転校とか、ほんと神藤は終わるって」
「ならお前もどう?向こうで新しいダンスボーカルユニット、作ろうと思ってんだよ俺」
「……考えとくわ」
考えるなあああっ!!
考えちゃだめ……!
そこで留まるのバカ……!!
あわわわわっ、やっぱり噂は本当だったんだ…。
なんかもう神藤学院を選ぶ生徒たちの意欲というか、理由というか、そーいうものが薄れていってしまってるんだ。
「君が郡くん?よろしく、担任の斎賀(さいが)だ」
「あ…、どうも」
とりあえず職員室に向かうと、わたしに気づいて駆け寄ってきた男がひとり。
それにしても先生までハンサムってどういうことなの…。
30代男にしか出せない色気がムンムンと…。
逃げ場がないのか、ここは。
「君のことは聞いてる。理事長のお孫さんだって」
「あっ、じゃあ───」
「カンナ、か。格好いい名前してるな」
あっっぶなああああ……。
つい「わたしが女の子だって知ってるんですかっ」と、繋げてしまうところだった。