『も、もう会えない…から』
『なんで!またキャッチボールしようよ!おれずっと待ってるから…!』
『……できない』
『おれのこと嫌いになった?おれ、なにかしちゃった?』
『っ、会っちゃダメだから…!!』
常にジャージ姿だった俺と、純白のシャツにサスペンダーを付けたようなお坊っちゃんスタイルの琥珀。
いま思うとほんと、そんな2人がキャッチボールだなんて笑えるよ。
『ぼくは…、お父さんが望む人間にならなくちゃ、だから』
『どーして?』
『そうしないと……怒られる、から』
怒りにきたよ、俺。
今日はおまえを怒りにきた。
あの頃とはお互いに声も図体も変わった今、それぞれが想う女のために幼なじみを辞めることになるなんてね。
「なにした?」
遊具が綺麗に塗装されなおしているくらいで、あの頃とそこまで変わらない公園。
連れてきてすぐ、俺は琥珀に鋭く聞いた。
誰に、なんて部分は言わなくても分かるだろ。
お前が志音のことしか考えてないように、俺だってカンナのことしか考えてない。