「センセ、それ僕が郡さんに渡しに行く」


「…お前が?」


「うん」


「んー、じゃあ頼むわアララギ」



溜まったプリント類。

もちろん担任から俺に託されると思っていたから、やっと口実ができて俺も期待していたというのに。


まさか教卓の前、受け取ってしまったのは琥珀だった。



「ちょっと、なんでよ」



琥珀の肩をぐいっと掴んでまで、俺は引き留めた。



「……なにが?」


「なにがって、俺の役目でしょそれは普通に考えて。…てか、カンナの家知らないだろ琥珀」


「…知ってるよ」



……は?なんで知ってんの。

関わり、ないはずだ。
そこまでの関わりは。

こいつとカンナは学校で顔を合わせる程度。



「っ…!」



少し強めに押し退けてまで、俺は琥珀からプリントを奪って教室を出る。


すごく嫌な予感がしたから。

お前が何かしたんじゃないかと怪しむ部分と、だからこそまずはあの子のもとへ行かなくちゃって。