「…なら、問題ないね」


「わ……!」



そしてまた、引き寄せられた。


もう意味がわからないよ。
なにがどうなってこの状況なの。


こんなにもわたしに手を伸ばしてくる琥珀くんなんか、琥珀くんじゃない。

わたしが好きな琥珀くんじゃない。



「もう僕のことは好きじゃない?」


「っ、」



だから、もう。
琥珀くん、やめてよ。

ぐっちゃぐちゃだ。

どうしてどうしてどうして、ばっかり。


今さらなんだよ馬鹿。


あんなにひどいこと言ってきて、あんなにわたしを泣かせて。

何回も頑張って笑顔を作って琥珀くんに接した。


無理やりにも気持ちを変えて、男として。



そう───…彼にとって男なんだわたしは。



「俺っ、男だよ…!離せって!気持ちわりーよ琥珀くん!」


「……女の子でしょ」


「っ…!」



間違いない力の差。


彼はわたしより弱いんじゃないかって、どこかで思ってしまってた。

だから夏休み古民家に泊まったときだって守ってあげなくちゃって。


でも、そんなことない。
こんなにも男の子だ。