そこは女子校。


突如現れた唯一の男子生徒である頼くん(と書いてイケメンと読む)を囲いまくる女の子たち。

いつもいつも声をかけられて、仲良さそうにしているところ。



「うわああーーっ!嫌すぎるっっ!!」


「ね、そーいうこと」


「わたしのこと忘れちゃダメだよ頼くん…!」


「カンナは間違えて向こうで“俺”とか言わないよーに」


「あっ、それね、なーちんの前で言っちゃったことあるよ」



向こうに行っても乗りきれるように、今のうちにたくさん充電しておこう。

たぶんわたしは向こうに戻ったら頼くんの優しさと安心が恋しくなるはず。


高校3年生、1年だけだ。


卒業したらまた新しい未来があるだろうし、いろんな選択が広がる。



「制服デートしようね頼くんっ」


「もちろん。あ、でもスカート短くしすぎたらお仕置きだからね」


「うん!……えっ」


「それと今日のニーソ。…触っていーのこれ」


「ひゃわ…!」



クリスマスは過ぎて、大晦日、お正月。

何事も忙しい年末は、過ぎ去ってしまうのはあっという間。


それから3学期が始まっても変わらない生活があると思ってたんだ。