「その子のこと…、好きなの…?」
「うん。びっくりするくらい好き」
「……いやよ、そんなの」
「…嫌?」
「っ…、私だってっ、頼のことが好きだもの…!」
うまくいかないな、いろいろ。
どうして神様はこんなゲームみたいなことをするんだ。
どうしてうまく組み合わせてくれないんだ。
琥珀と志音、それじゃ駄目なのかよ。
「ずっと…、ずっと好きだったわ……!」
そんなに叫んだらさ、聴こえちゃうだろ。
この近くにはかなり大きな城みたいな家があるんだから。
なんとなく、わかってはいた。
いつも志音はどちらかというと俺を優先し、俺の名前ばかりを呼ぶから。
ただ、琥珀。
あいつがそれを知ったらどうするんだろうと不安はあった。
「お願い…!私から離れないで頼…っ!」
幼なじみって厄介だ。
所詮は他人だというのに、どこか根深く染み付いた鎖みたいなものがあって。
でも結局はやっぱり他人だから。
どんなに小さな頃から縁があったとしても、女欲しさに利用することだってできてしまう。
「っ…!」
「……頼…?」