「琥珀は?知ってるの?」


「いいえ。…頼とふたりで話がしたかったの」


「……寂しがるよ、そんなこと言ったら」



その言葉はあいつに言ってあげないと。

俺に言うべきセリフじゃないよ志音。


もう冬に突入したというのに、ミニスカートにロングブーツ。

相変わらずふわっふわな髪をなびかせてるけど、俺はやっぱりあの子の短くてぴょんぴょんしてるほうが好きだ。



「忙しいんじゃないの?前からそんなに日も経ってないし」


「……ええ、でも、Ark.が復活したって聞いて」


「あー、それね。その日限定だよ」



やっぱり耳に入っていたか。
そりゃそうだ。

ボーカルだったお前に話題が向かわないわけがない。


あのとき、ボーカルだけは違った。

だれ?と疑問を浮かべた人間たちもいたが、そんなものは俺たちの演奏でカバー。



「琥珀にも電話かけようか。あいつがいちばん志音に会いたがってるから」


「…頼は会いたいと思ってくれないの?」


「……なにその質問」