マンションに何とか上がることはできたものの、カンナは俺からできるだけ距離を取った場所に正座。
俺はゆっくりゆっくりと近づくけど、そのたびにガタガタっと反応されてしまえば。
「…前の関係のほうがよかった?」
「っ、」
「俺は嫌だよ。…だって触っていいんでしょ?俺が触りたいときに」
今だって触りたくて仕方ない。
抱きしめたいしキスだってしたい。
学校でどれだけ我慢してるかって話だよ俺が。
カンナは男として生活してるからそこまでベタベタすることはできないし、なおさら今はこんな状態だし。
「取るね?」
「っ…、やっ、まっ…、あ…っ」
壁まで追いやって、逃げ場をなくして。
そっと伸ばした手でサングラスとマスクを優しく外してみれば。
「…………」
「えへへ、……あは、…ふへへへ」
俺はね、顔を真っ赤にさせて恥じらってるほうを想像してた。
そんな顔見られたくないからイヤーなんて、男心をくすぐるほうの。
だけどまさかそっちだなんて、俺がいちばん驚いてる。