「そこで登場するのが板垣 退助だ。明治維新を代表する偉人のひとりだが、この板垣 退助が大きく指導した出来事として───」


「ハイ、センセイ」


「ん?どうした郡」


「ジユウミンケンウンドウで、ゴザイマス」


「……大正解だ。すごいな郡、先生はいろんな意味でびっくりだぞ」



………もしかして俺、やりすぎた?


確実にあの日からだよね、文化祭あと。

ふたりで打ち上げしようって口実を俺はそこでも持ちかけて、まんまと騙されたカンナは男をマンションに平気で上げちゃって。


そこで俺はキスをして、好きだということを伝えて。


あれから何度か繰り返して、それから帰る頃までは普通だったはずだ。



「ちょっとそこで止まってくれる?」


「っ!」



あまり生徒通りが少ない踊り場。

一段一段ガシャンガシャンと階段を下りてきたロボットの行く道を止めた昼休み。



「お昼は食べた?教室にも食堂にも居なかったし、どこ行ってたの?」


「ショクヨクフシンで、ゴザイマス」


「…カンナが?」


「ヘイ」


「にしても何も食べないってのはさ。午後もたないよ」


「コチラ」