わたしのファーストキスを奪って、そのあともう1回激しめに奪って、泣いているわたしを前に。
まさかの彼はそんな地獄のような話を聞かせてくれる、と。
「やだっ、聞かんぞ…っ」
「ざんねん。両手押さえちゃってんだぞ」
「ひどすぎる…!おにっ、あくま!」
「うんうん。だって聞いて欲しいんだから仕方ないだろ?」
どーいうこと……。
いやいやと子供っぽく頭を左右に振ると、耳元に落ちてきた吐息に黙らせられてしまう。
凄まじい。
頼くん、すさまじい。
「その子とはさ、高校で出会ったんだけど。俺が通ってるとこは男子校でね、当たり前だけど女の子なんか居ないわけよ」
「……うん」
「そもそも出会いなんか無いわけ。俺も別に自分から望むほど欲してもなかったし。でもさ、ある日、なんか変わった転校生が来て」
「……うん」
わたしの前にも転校生がいたってこと…?
その子が女の子で…?
いや?男子校だよね…?
ってことは、この人は……本当にそちらの世界の住人さんってこと…?