「……より……くん」
「…予定では、カンナの気持ちをちゃんと聞いて、俺の気持ちも伝えて、お互いの同意の上でしようと思ってた」
「……の、よてい、だった」
「…そう、予定に終わったね」
離れてしまった唇が、せつない。
頼くんの整いすぎている顔のパーツひとつひとつが、いつもより何倍も何倍も格好よく見せてくる。
「……あの…、わたし、アホの子…だから、」
「知ってるよ？」
いや否定……。
どうしてそこはサラッと肯定しちゃうの頼くん。
わたしのファーストキスを奪っておいて意地悪すぎる。
「頼くんは…、わたしが、男だから、するんだよ…ね？」
「……えっと…？」
「男だからこそ、こーいうの……するって、前に言ってた……もんね」
「…………」
女の子にはもっと優しくするって。
女の子には距離感を保つって。
今のわたしと頼くんの距離、見事にゼロだった。
距離感もなにもない。
だからわたしは頼くんから見たら、女の子じゃないんだと思う…。
