「…やっぱ慣れないことなんかするもんじゃないや。ごめんカンナ、俺もう我慢やめるよ」
「へっ?───んん…っ!んぅ、…!」
なぜか奪われた唇。
わたしは、少し前に。
クールハンサムだけど所詮は独身の担任に相談したときのことを思い出した。
『なんで友達に、わざわざ男友達に、罰ゲームでもねえのにキスするんだよ』
『そこにはまあ、特別な気持ちがあるんだろうな。男とか女とか関係なくなるのが……恋だろ』
思い出しては余計に混乱を生んだアホの子、ここにひとり。
わたしは女だけど、男でもある。
男も女も関係なくなるって……なに?
よく分からなくなった。
ううん、ちがう。
分からなくなった理由は、それだけじゃなくて。
「より…っ、く…っ、んん…!」
たぶん、この柔らかさのせい。
初めて、初めて、初めて。
最近のわたしは初めてばかりを味わう。
そのなかでも、これだけは。
この初めてだけは特別な人としかできないもの。
ぞわりぞわりと、全身から込み上げてくる表現しがたい気持ち。