目の前のネクタイとシャツを、ぎゅっと掴む。

顔を見られるのが恥ずかしいから、ちょっとだけ身体を寄せて隠してみたりして。



「頼くんが触りたいときに……触ってくれれば、…いいよっ」



だってそれ、わたしがそうして欲しいから。


頼くんにはずっと近くにいて欲しい、頼くんが触るのはわたしだけでいい。

今日の文化祭みたいに、他の女の子に笑顔なんか振り撒いちゃったら……やだよ。



「…それ、本気で言ってる?」


「う、うん…っ」


「俺の好きなようにしていーの?」


「うんっ」



いいよ。
頼くんなら、いいよ。

怖くないもん。

どうしてか頼くんだけは怖くなくて、ぜんぶのものから守られている安心でいっぱいなの。



「言ったからね。覆すのだけはナシ」


「え…、あっ、───っ…!!」



ガシッと掴まれた両手。

そのままベッドに縫い付けられてしまえば、視界ぜんぶに頼くん。


逆に嬉しくなってしまったわたしは、えへへっと照れた笑顔をひとつ見せると。