くるっと変わった体勢。
今度は天井を隠してくれる頼くん。

ベッドで作れる体勢をひとつずつ試してるのかな…なんて、変なことを思った。



「っ…、あっ、ちょっと、お待ちください…!」


「ははっ、…ほんと飽きない」


「わ…っ」



ちゅっ───…と、頬っぺたにひとつ。


息が詰まりそうなくらい、心臓が苦しい。

嫌じゃなくて、心地よくもあって、でも恥ずかしくて恥ずかしくて死んじゃいそうで。


ステージ発表での彼が目の前にいるんだと思うと、なんかもう、爆発しそうだった。



「よりくんっ、心臓……いたいっ」


「…俺も痛い」


「頼くんのことで頭いっぱいっ、…おかしくなる…」



長い指を器用に動かしてギターを速弾きする姿や、客席を見すえて楽しそうに弾く姿。

あんなにも薄暗かったはずなのに、頼くんのことだけはハッキリと見えた。


狐のお面をしていたけれど、わたしの目にはちゃんと頼くんの笑顔が見えたんだ。