「もう少ししたら食べよ」と、言いながら。
わたしの手を引いて立ち上がらせてからの、そばにあるベッドの上へぽすん。
ここまでわずか10秒もなく。
「わ…!」
ぐらっと傾いた視界。
抱え込まれるようにしながら、わたしの身体はベッドと平行になった。
すぐ目の前には頼くんの鎖骨。
ふんわり香ってくる、頼くんの匂い。
「あーー、疲れとかいっきに吹き飛ぶねこれ」
「そ、そうっ?おれ…、ぎゅーーって、すごいっ」
「……それはね、俺も」
ドコドコドコドコと、お互いの心臓を打ち付ける太鼓。
見上げると、すぐに合わさる瞳。
ずっと頼くんはわたしのことを見ているのだから当たり前だ。
いつも逸らしているのはわたしのほう。
「いーよ、今は女の子で」
「いやっ、いいよっ」
「…俺がそうして欲しいって言ったら?」
「いやっ、いいよ…!」
「じゃあ女の子にさせればいいってこと?」