「でも、そんなときに助けてくれた人たちが居ました」
パッッ!と、足元の証明だけがわたしたちに当てられる。
証明スタッフには顔だけは見えないようにと、厳重に忠告してあった。
もちろん3人は仮面を取り付けているから、見えたとしてもギリギリセーフという意見も出たが。
そう、わたしだ。
もしSNSに拡散されてしまえば、前の学校の人間に見つかった場合、わたしが女だということがバレてしまう。
わたし用の仮面はないのだから。
「え…、ちょっと、このイントロって…」
「Ark.じゃない……!?えっ、うそ!!」
心臓が、震えた。
大音量に繋がれたスピーカー、動画で見たベースの出だし。
そこに彼のギターが加わって。
最終的に確定させる、ドラム。
「うそだろ…、え、いやいやコピーバンドだろ!?」
「なわけあるかっ!あの演奏レベルをコピーなんか無理に決まってんだろ!!」
会場内が盛り上がりを見せてきたところでスポットライトが当たる場所、ユータとコータがバク転をしてから声を張り上げた。