『聞いてカンナ。俺ももちろんお前に協力してやりたいとは思ってる』
『ならっ、』
『けど、Ark.は物理的にできないんだ』
『…なん、で…?お面被れば3人だってバレないしっ』
わたしは、忘れていた。
ステッカーに並んでいた人数、動画で見た人数。
ここにいる3人だけではなかったこと。
必ず4人、いたこと。
『…ボーカルがいない。たとえ楽器隊は揃ってたとしても、真ん中が欠けてる。
それに何より……Ark.の曲を歌えるのはひとりしか居ないんだ』
あたまを下げ続けていたわたしをそっと起こしながら、頼くんは眉を寄せて笑った。
『俳優コースの舞台だったりをさ、ちょっと延長してもらったり。そーいうのできないか駆け回って聞いてみるよ俺』
『だめ…!Star☆ticeじゃないとダメ…っ!あと…Ark.じゃないとダメ……っ』
『…カンナ』
有名どころがふたつ揃ってるからとか、そうじゃない。
音楽って、すべての壁を越えると思うんだ。
言葉も、国も、性別も、ぜんぶぜんぶ関係なくなるのが音楽なんじゃないかなってわたしは思う。