「頼くん!ニヤニヤして女の子と絡むのやめろよなっ」
「え?だって客寄せしないとだろ?」
「っ、そーだけど!そっ、それは琥珀くんがやりたいって言ってたから…!!なっ、琥珀くん!」
「……言ってない」
「言ってた!!言ってたもんっ!!」
クスッと笑った頼くんは、ぷいっとそっぽを向いたわたしの顔を覗き込んでくる。
たとえ男子生徒に紛れていたって、この身長差。
いつだってわたしにとって頼くんは、見上げるか、合わせてくれるかだ。
「カンナ、そんなカワイー顔しちゃってどーしたの」
「っ…、おれっ、模擬店のほう行ってくる…!!ナンパとかやめろよ気色わるいからっ!!」
「ははっ、しないって」
琥珀くんに頼くんのことを頼んで、わたしは逃げるように全力疾走。
初めてを過ごす男子校での文化祭は走り回ることになりそうだった。
「「カンナ……っ!!!」」
「ん…?あっ、ユータとコータ!」
それは、午後のステージ発表が始まろうとしていたとき。