「ぷはっ!琥珀くん!ひどいっ」
「……ふっ」
「俺がせっかく膨らませてたのに…!」
「なんか…面白くて」
そんな涼やかな顔で面白がらないで欲しい。
わたしは心のなかがモヤモヤして、メラメラして、悶々とダークな気持ちで満ち満ちてたのに…!
「琥珀くんもねっ、もっと声出さないとダメだよ!小さい!足りない!!」
「…どんな感じに」
「いらっしゃーーせーーー!!!安いよ~、安いよ~!!って!!」
「……それ市場?」
結局のところ宣伝版づくりに1度も参加しなかった琥珀くんだから、わたしはこうして看板を持たせた。
だって琥珀くんも手伝ってくれるって言ったのに、来なかったもんあのとき。
というわけの、ペナルティ。
「───俺も混ぜて」
と、わたしと琥珀くんのあいだに入ってきた頼くん。
女の子たちはすでに模擬店へと案内し終わったのか、手ぶらだった。