いや…、ここまできたらバカにされたほうがいい。

バカにされたほうが落ち着く。

豪快に笑ってくれたほうがいいのに、逆に真面目に応援されたらそれはそれで。



「───い、以上です!!終わり!!もうこんなの誰がするかっ」



そして演奏が終わると、まさかのパチパチパチと穏やかな拍手。

もちろん御堂 頼というクラスメイトが響かせているもので、それにつられた男たちも笑いながら送ってきた。



「あとはアララギだけか…」



困ったように先生がつぶやいたのは、この数日間ずっと学校を休んでいる琥珀くんだった。


アメリカで活動しているシオンさんが日本に帰国してから、彼も合わせるように学校に来ていない。


それはもう、そういうことなんだろうと。

ふたりでバカンスでも楽しんじゃってるんだろうと。


ひとつひとつ、ゆっくり、少しずつ。

わたしの心は1日1日新しいものに変わってゆく。



「おいカンナー、俳優コースの奴らが呼んでるぞー」


「ん?あっ、そうだった!」