「はい、はい、すぐ来てくれますか?えっと…たぶん柳田高校の生徒だと思います」
「やべえ…っ!!おい逃げるぞ…!!」
「クソ…ッ」
まずは目に入った、銀色の髪。
その次にマスク。
暗がりで制服の柄まで細かくはよく見えなかったけれど、どこかの高校生だということだけは。
それからあっという間にわたしたちの身体に戻された自由。
すると、助けてくれた彼はスタスタとわたしに近づいてくる。
「えっ…」
「…制服、汚れてる」
「わ!」
なんと彼は自分が着ていたパーカーを脱ぐと、わたしの腰に巻いてくれてしまった。
ふわりと香った、シトラスの匂い。
「ここ、もう通らないほうがいいですよ」
「あっ、はい…」
「じゃあ。…そういうことで」