さっきふたりの姿を目にしたときも、心のなかで同じように泣いていて。
頼くんに手を引かれて校舎に戻っていたときにはもう、こうして頬に流れていたんだと思う。
「…ここ、防音だよカンナ。誰も見てないし、俺しかいない」
ギタースタンドにまた戻した頼くんは、体育祭あとの日のような形に変えた。
とくに今はひどい顔してるから、見せたくない顔をしてるから、この体勢は嫌なのに…。
「今だけ女の子。誰にも秘密にしといてあげるから」
なんで止まらないの。
なんで流れてくるの。
とまれ、とまれ、止まって、お願い。
拭う暇なくポタリポタリと溢れてくる涙は、格好つけても男の子のものだとは言えそうになかった。
「大丈夫、だいじょーぶ。…大丈夫だよ」
そんなふうに言われたら、もういいかなって思った。
「わたしっ、ここ来たの……、廃校にならないようにって、言われてっ」
「…うん」
「ここ潰れたら……家を失って、借金地獄で…っ、だからっ、そのために、きた…っ」
「…うん」
「1年…、1年だけって…っ」