「そこにはまあ、特別な気持ちがあるんだろうな。男とか女とか関係なくなるのが……恋だろ」
「こっ、恋!?それはないけどもっ」
「……いやあるだろ」
「ないないっ!だってそのひと好きな子いるもんっ!!」
「…は?」
頼くんがわたしに恋…?
それだったら頼くんが彼女にしたいと思ってる女の子はどうなるの…?
なにそれ、意味わかんないよ先生。
「もうっ!これだから当てにならないんだよ独身は……!!じゃーな先生っ!!」
「……てめえこの野郎」
あの日から毎日毎日考えることの7割は頼くんのことで、あの日のキスのことで。
ぐるぐる考えて、たまに恥ずかしくなって。
それでも、どうしてか、忘れたくないと思ってしまって。
あのときの表情とか、声とか、わたしを女の子として扱ってくれた彼を。
「なあっ、校門前に“Sion(シオン)”が居るんだけど…!!見たか…!?」
「ああ見た見た!!やべーよ!!ちょー綺麗だった…!!やっぱレベルちげえわ…」
「誰かを待ってるっぽかったしさ。ここに彼氏でもいんのかな!」