「わ…!……より…くん?」



街灯の光が、少し先に見える。

ほわわんと照らしている地面にまたカブトムシやクワガタがいるのかなって、そんなことを考えながら。


頼くんの腕のなかに入っていることに気づいた。



「……すご。ふだん当たらないものが微かに当たる」


「……?」



ふだん当たらないもの…?

ふだん、普段…。
いつもは隠してるものってこと、だ。

いつも隠してるものと言えば……。



「っ…!!そっ、そーだよっ、わたしだって一応っ、一応は17歳だしっ、女だし…!」



頼くんからもらったタンクトップ型のサラシ、あれから毎日ちゃんと身に付けてる。

今はたまたま女の子だから取っちゃってるけど、頼くんの言い付けはしっかり守ってるよわたし。



「……そう。女の子なんだよね」



というより微かにってなに…!と、わたしが引いてしまうより先に。

ぎゅうっと、隙間がまた詰められた。



「あのときさ、俺すごい腹立ったんだよ」


「…あのとき…?」


「……古民家で、お前があいつらに襲われそうになったとき」