「わあっ、頼くんのだんだん膨らんで大きくなってきてるよ」
「……カンナチャン、その例え方はちょっとやめよっか」
「え、どーして?」
「…へえ、言わせんの?───あ。」
ぽとんっ。
頼くんが持った火の玉、落下。
「……ねえ、こんな会話して落とすとか認めたくないんだけど俺」
「やった!わたしの勝ち!」
楽しい時間って、どうしてこんなに過ぎていくのが早いんだろうね。
もう夏休みなんて早すぎるよ。
そんな夏休みもあと少し。
9月、10月、11月…、そうやって年が明けたら、今度は別れを惜しむようになるんだろうな…。
「すっごい楽しかったね頼くん!まだやり足りないくらいっ!さあさあお片付け~」
バケツに入った使用済み花火は頼くんが持ち帰ってくれると言うし、わたしがすることはゴミをまとめることと忘れ物はないかチェックすることくらい。
19時45分。
片付けが終わって駐車場へ戻ろうとしたときだった。