「えっ、これ打ち上げなの…!?」
「…俺もびっくり。シューって出るやつだと思ってた」
「わたしもっ」
「…ふっ、あははっ!くそ楽しいじゃん!」
そこまで笑ってくれて、そんなにも楽しそうにしてくれて。
わたしの高校2年生は結局のところ最終的に甘さで締められるものなんだと、また実感した。
なんか、なんか。
町で開催される賑やかなお祭りに男ふたりで行くんじゃなく、ありのままの姿で楽しむ手持ち花火。
すごく頼くんって感じがした。
「手持ち花火って言ったらやっぱコレでしょ」
「線香花火!わたしと勝負っ」
「俺こーいうのほんと強いから、吹っかけたこと後悔しても知らないよ?」
「おう!望むところだ!」
「…“おう”はだめ」
御堂 頼が優しいことは、たぶんわたしがいちばん知ってる。
とは、言えない。
1番はきっと幼なじみである彼だから、じゃあ2番だ。
2番目に知っているような存在になりたいと思った。