「あはっ、頼くん意外と小心者なんだね~」
「ちがう。カンナチャンが転びそうで怖いってこと」
「……頼くん、カンナがいい」
「カンナちゃん」
「カンナ!」
「かんなちゃん」
ダメだ、何度やっても同じ返事が返ってきそうだからここは折れてあげよう。
頼くんだって頼チャンって呼ばれたら困るくせに…。
盛り上がるのにぽつりぽつりとなぜか消えてしまう会話のなか、公園内の水道でバケツに水を溜め、広場へと到着。
「わー!きれい!これ勢いすごいよ頼くん!」
「俺にも火ちょーだい」
「どーぞどーぞっ」
花火ってこんなに綺麗だったっけ?と、手持ち花火に大興奮だった。
円を描くように回してみたり、どっちが長く持つか勝負してみたり。
ふたりでどこまでも楽しめちゃえそうだ。
「よし、ついたっぽい」
「頼くん離れてっ!はやくはやく!」
置き型の花火に着火すると、チャッカマンを持った頼くんはわたしのほうへ小走り。
シュッッ、パァンッ!!
パァンパンパン!!
まさかの打ち上げられた、何発。