なーちんが恐怖にうつむくと、ケラケラと笑い出す数人。



「わりと可愛い顔してんじゃん。ね、もっと見せてよ」


「やっ、やめて…っ!!!」


「チッ、うるせえ女だな」


「やだっ、痛い…っ」



思うようにいかなかったからといって、とうとう強行手段に入り始めた不良たち。

なーちんの掴まれてしまった腕。
さすがにわたしは咄嗟に身を乗り出した。



「やめてっ!キモい手でなーちんに触らないで!!」


「ああ?キモいってなんだてめえ」


「あっ、間違えた!汚い手、ってこと!───わっ…!」


「カンナ…!」



ドンッと男の胸板を押したつもりが、情けなくも逆に跳ね返ってしまって。

たったそれだけで見せつけられた、力の差。



「いたいっ」


「カンナ大丈夫…!?ちょっとっ、いいかげん離しなさいよ…ッ」



湿った地面。

ぐにょりと、ちょうどお尻が付いたところに泥。