その声が、どこか寂しそうに聞こえて。


わたしと花火をするために張り切ってくれたんじゃないかって。

あの日、古民家でも助けられてばかりだったわたしは。



「行く!!頼くんっ、行くよ俺!待ってて…!」


『…いーの?家族で過ごしてんじゃない?』


「いーよ!ねえお母さんっ、友達っ、友達が花火しようって…!行って来てもいい!?」



お母さんだけじゃなく、お父さんとじいちゃんまでもがわたしを見つめてくる。



「新しい高校で初めてできた友達でっ、いつもお世話になっててっ、それでっ、それで…!」



あれ、わたし。
なんでこんなに必死になってるんだろう。

説明するだけで泣きそうにもなってるなんて、おかしい。


頼くんには助けられてばかりなの。


頼くんが居なかったらわたし、男として過ごせなかったどころか男性に対するトラウマさえ植え付けられるところだったんだよ。



「カンナ、ちょっとお母さんに代わって」