「素顔も年齢も性別も非公開。大手レーベルが奪い合いだった伝説のロックバンド、その名もArk.(アーク)!」
「あーく?」
「それでねそれでね!噂ではその人たちは神藤がく───きゃっ!!」
どんっ!!!
「いってェな。ちゃんと前見て歩けっつーの」
「すっ、すみません…」
気づけばそこは薄暗いトンネルの下。
ここは1人のときは避けていた通学路でもあって、でもなーちんが居るから大丈夫かなって。
それが間違いだったみたいだ。
なーちんがぶつかった相手は他校の男子生徒。
わたしたちと正反対を生きているような、煙たい空気をまとった年上らしき男たち。
「あーあー、ケガしちゃったかもなあ」
「えっ、そんなに強くぶつかってないと思います……が」
「へえ、口答え?ぶつかっておいて生意気だねえ」
「っ…」
わたしから見てもケガをするほどの衝撃じゃなかったように思う。
言いがかりだ、そう言って遊んでいるんだ。