「慰めてほしい?」


「っ、……俺は…男、だからっ」


「お、こらえた。…えらいよ」



そーだよ、わたし偉いの。

あんなにバッサリ言われても男として乗りきって、男として笑えた。



「しりとりでもする?」


「……りんぱせん」


「おまえやる気あんの?んー、リス」


「すいぞくかん」


「ナメてんね」



長いまつ毛、綺麗な二重ライン、この距離でも枝毛なんか見つからない黒髪。

彫刻作品と間違えそうな鼻、薄くて血色のいい唇。


ひとつくらいわたしに譲ってくれてもいいんじゃないのって思ってしまう顔立ち。

スッと入っている首筋から鎖骨までもが完璧だなんて、逆に困るよ。


何よりすごく、すごく、優しいひと。


それが───…御堂 頼なんだって。



「なに遠慮してんのお前」


「しっ、してないし…!」


「そ?…俺たち男同士だろ?もっとくっついたっていーんじゃないの」


「わ…っ」



もうじゅーぶんだよ。

十分くっついてるよ、頼くん。



「カンナ、俺の名前連呼して」


「え…、なんで…?」


「いーから。ほら」