でも、そんなものを乱す瞬間はどんなときなんだろうって、気になってしまっているわたしは。
「………っ、どう、して…?」
「…そんな感じがしただけ」
今日もわたし、琥珀くんを見ていた。
琥珀くんが打ったヒットの数もちゃんと暗記してる。
キャッチャーを名乗り出て、頼くんのボールを受け取っている姿だって。
今も脳裏にずっと浮かんでいるよ。
「………、」
ううん、今日じゃない。
あの日、初めて銀髪の神様を目にした日。
あのときからわたしの頭のなかには君がいた。
パーカーを巻いてくれた王子様、綺麗な声をしていた王子様。
ずっとずっと会いたいって思ってた。
会えたとき、本当に嬉しかった。
これは、この気持ちは………、
「───、」
こくん、と。
首を縦に動かして、そんな反応だけ。
どんな顔をしてるんだろう、今のわたしって。
ショートヘアー、男子生徒の制服、一人称は俺。
それで、あなたが好きだと、肯定してしまったわたしは。