「あっ、琥珀くん!打ち上げの場所わかる?駅前のねっ、竜英軒っていうとこだよ!」



教室に残っていたひとり。

クラスメイトたちは跳ねるように焼肉屋へと向かい、わたしは着替え含めていろんな雑務おわりだった。


ようやく向かおうとしていたわたしは、琥珀くんを見つけて誘ってみる。



「一緒に行く?迷ったら大変だもんね!」


「……郡さん」


「ん?」



じっと見つめられ、どこか空気感を読み取った。

とっくに着替え終わっている琥珀くんは、もしかするとわたしに言いたいことがあって待っていたのかもしれない。



「僕のこと、好きなの?」


「───……え…」



身体の動かし方を忘れてしまった。

息の吸い方、まばたきの仕方、ぜんぶぜんぶ初心者に戻ってしまう。



「僕のこと、好き?」



待ってくれないのが彼という感じがした。


頼くんとは違った強引さがあって、この人は基本マイペースで。

自分のペースがあって、それを乱すことは絶対にない。