「すげーわバンドコース!」
「まじ楽しかった!!」
「なあっ、また今度ふつーに野球しようぜ!チームメイト混ぜて戦うってのも面白そうじゃね?」
でも、違うものがあった。
2位のわたしたちを王者は認めてくれたのだ。
それまでバンドコースの人間を陰キャと馬鹿にしていたキラキラアイドルたちが、和気あいあいと話しかけてくる。
「そんでさ、今度オレたちにも楽器教えてほしいんだけど…」
「バンドアイドルってのも新しくない?」
「はははっ、ナメんなよバンドを!!コラボなら考えてやってもいーけど?」
「あっ、いいなそれ!」
この結果が待っていたのなら2位で良かったかもしれないと。
楽しそうに話すイケメンたちを見て、「王子様の休憩所」なんて呼ばれるだけあると、わたしは実感した。
きっとこれが、本来の神藤学院高等学校だったんだ。
「ふふっ」
「…なに笑ってんの、カンナ」
「なんでもっ」
男の子って、いいなあって───。