そーれっ、そーれっ、ふれーっ、ふれーっ。


乗りきれ~。

なんとかこれで通用してお願い……!



「ええ~、なにそれ~。もしかして廃校寸前のボロ学校なんじゃないの?」


「そ、そうかも!あははっ」



だって、いろんな意味でバレたら大変なことになるのだ。

それこそ我が家は今より危ない場所に立たされることになるかもしれない。


神藤(かんとう)学院高等学校───そこが、わたしがあと数ヶ月で通う高校だ。


それすら言えない理由は、名前だけできっと、誰もが声を上げることになるだろうから。

どうにも生徒たちは整った顔立ちが勢揃いだと言うし、特殊なコースが設けられている、特別で有名な高校らしいし。


アイドルコース、俳優コース、バンドコース。


基本は芸能活動を将来に見すえた、言ってしまえば未来のキラキラアイドルたちの巣くつ。

別名:王子様の休憩所。


そんな東のプリンスたちが通うと言われている───そこは男子校である。